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オサムシのゲニ抜き

執筆者の写真: バエバエ

更新日:2024年6月23日


オサ堀の季節が到来しましたね。今回のオサムシのゲニ抜き・ゲニ出しを紹介します。(オサムシの内臓を載せているので嫌な方はお帰りください)ゲニ抜きが載っているサイトは少ないので参考にしていただければ幸いです。

オサムシの仲間は羽が退化しているものが多いため、地域ごとに多彩に種分化しています。そこで種を同定する上で重要になるのは「ゲニタリア」です。大抵は雄交尾器のことを指します。ちなみにゲニタリアの形状が違うと生殖隔離がおきます。「錠」と「鍵」が合わないと上手く交尾ができないというわけです。

さて、準備物です。

・虫

・昆虫針

・ピンセット

・ティッシュ

です。

モデルはアキタクロナガオサムシ夫婦です。近所のアカマツの倒木下よりお越しいただきました。越冬中を叩き起こして、酢酸エチルで〆るというなんと無慈悲なことを…。責任持って標本にさせていただきます。

〆てすぐの方がゲニ抜きしやすいです。すぐにできないときは冷蔵庫に入れておくと後で解凍して抜くことができます。

今回見るのは雄のゲニタリアです。まずは、採った個体が「雄」か「雌」かを確認しましょう。

右が「雄」、左が「雌」です。前脚符節部が広い方が「雄」です。交尾に雄が雌の体表をしっかりと掴めるための形質のようです。この見分け方はゲンゴロウなどにも使えます。

雄の腹側です。赤丸の辺りのゲニタリアが入っています。

上翅を横から指で挟んで押して、腹部の先端を開いてやるとこんな感じ。

ここで登場するのは昆虫針。これでゲニタリアを出します。ピンセットも用意しておきましょう。

背中から見て一番右側の腹部先端から針をいれます。先程紹介したゲニタリアの位置をイメージしながら気持ち深めに刺して、矢印のようにひねります。

ゲニタリアの先っぽが出てきました。三角にとがっている部分です。

ここで先端をピンセットなどを使って引っ張ってはいけません

先端の薄い膜が傷つくと内嚢反転ができなくなります。

先端を傷つけないように注意して、針をもう少し深く入れてひねり、全体を出します。

ほとんど出ました。

丸い枠のようなものの上に乗っているのが分かると思います。

全体をピンセットを使って根本(内臓ごと)から取り出します。

こんな感じです。茶色い筒状のものがゲニタリアです。

縮こまっていることが多いので、ゲニタリアの先端を傷つけないように昆虫針の頭などで裏からついてやるとでてきます。

一連の流れはこんな感じです。

台紙に張るなり、ゲニタリアのチューブに入れるなりして大切に保存しましょう。

ではでは。


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