今回はゴミムシのゲニ抜きを紹介します。
基本的にはオサムシと同じです。
過去記事はこちら「オサムシのゲニ抜き」
ゲニ抜きが初めての方はこちらを先に読んでおくと理解しやすいと思います。
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準備物:ゴミムシの雄、昆虫針、ティッシュ、ピンセット
今回は上のマルクビゴミムシsp. 君にエキストラ出演していただきました。昨晩中国山地でツキノワグマに怯えながら(?)採ってきました。
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まずゲニを抜くにはそのゴミムシが雄か雌かを確かめる必要があります。
上の個体は雄です。
符節が広がっています。こちらもオサムシと同じです。
ただ小さい種類になるとこの判別方法が使いづらくなります。そんなときは腹部を上と下からつまんでやると交尾器が少し出てきます(特に雌)。それでも分からないときはとりあえずゲニを抜いてみましょう。
では、ゲニ抜きにかかります。
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青斜線部にゲニが入っています。
これを虫針とピンセットを使って取り出します。
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まず腹端のどちらか両端に虫針を刺します。
先ほど図示した部分より気持ち深めに刺します。
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次にゲニを掻き出すように虫針をひねります。
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あ、先端が見えましたね!
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もう一度刺して、ひねって全体を出します。
鈎状になっている部分がゲニタリアです。
だいぶ出ていますが、変形するので、先端などを持って引っ張ってはいけません。
(ナガゴミムシなど腹板末端節に同定形質がある場合や、ゲニの大きさが分からない場合は腹板ごと外すことをおすすめします。腹節と腹板の間に虫ピンを入れて、膜を切ると外すことができます。)
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全体が出たら腹端とゲニの間をピンセットで挟んで引っ張ります。
一緒に内蔵が付いてくることがありますが特に気にすることはないです(後で取り除きます)。
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周りに付いた内蔵を虫針やピンセットを使って取っていきます。
このときティッシュを濡らしながら行うとやりやすいです。
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内蔵を取り除いた後は、台座のような部分も要らないので取り除きます。
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こんな感じで外します。
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さらに不要な内蔵を取って、上のようになれば終了です。
下の1対のトゲのような部分(陰嚢)は取っても取らなくてもどっちでもいいです。
ゲニはなくさないように台紙やチューブに入れて本体と一緒に保管しましょう。
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【おまけ】
色も体格も上の2種はよく似ていますね(前胸背板が全然違うという野暮なツッコミはなしで🐥)。
でも、ゲニを見ると一目瞭然です。
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(上:左側の個体のゲニ 下:右側の個体のゲニ)
ある程度の種類のゲニを抜けば初めて抜く種類でも大体の形が分かりますし、逆にゲニの形から大まかなグループを推測することができます。
慣れると簡単にできて、より正確な同定もできるようになるのでチャレンジしてみてください。
ではでは🐥