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鳥取県からダニの新種を発見

執筆者の写真: バエバエ

私が鳥取県鳥取市岩戸(岩戸海岸)で発見したハマベダニ属の1種がAmeronothrus retweet(イワドハマベダニ)として記載されました。



〇発見のエピソード

2020年3月7日に鳥取では記録のない岩礁に生息する某セスジガムシを探すために、県東部の岩礁帯を友人K氏と訪れました。岩上を目を凝らして探す中で"紛らわしい大きさの粒"が多数見つかりました。よく見るとダニの仲間のようで、環境も特異だったのでとりあえず写真を撮りました。ダニはこんなところにもいるのか!と驚き、帰って論文を探しますが、ハマベダニの仲間なのかも?程度で留まり、以後、関心は薄れていきました。


岩壁で米粒以下の大きさの生き物を探す筆者。ぱんつはギリギリ見えていない。



2021年3月23日に転機が訪れます。 TLに「Ameronothrus twitter(チョウシハマベダニ)」の発見ツイートが流れてきたのです。 画像を見た瞬間、以前撮影したのは、やはりハマベダニだと思い、以下をツイートしました。ツイ廃の鏡ですね。



早速、島野先生からリプをいただき「場合によっては...(未記載種(俗にいう新種)かもしれない)」とのこと。



「新種かもしれない」ハマベダニの確保を拝命した私は、5日後に発見地を訪れるも爆風大荒れの日本海になすすべもなく帰宅。諦めずに天気が回復した数日後に自転車を走らせて岩礁を訪れ、遂に2021年3月31日に無事にハマベダニ達と再会しました。



その後、ハマベダニ達は鳥取から東京を経由してオーストリアと旅立っていきました。



オーストリアのダニの専門家に見ていただいた結果、既知種とは形態、遺伝子ともに区別ができる未記載種であると分かり、以下論文でAmeronothrus retweet として記載されました。



Twitterの機能である"リツイート"がきっかけで発見・記載に至ったのでA. retweet と命名されました。和名は発見地かつ模式産地である鳥取県鳥取市岩戸(岩戸海岸)にちなんで"イワドハマベダニ"を提唱しました。


これがイワドハマベダニA. retweet だ!


和名には個人的な思い入れもあり、鳥取市の観光名所である賀露市場に隣接した賀露海岸の汀線で見つかり、1990年に記載されたカロナギサダニ Actacarus karoensis Abè, 1990 も意識した和名になっています。


イワドハマベダニは論文発表後、さまざまなメディアで報道されました。特に小学校の頃に熱心に読んでいた「子供の科学」で取り上げられたのは大変嬉しかった出来事です。



最後になりますが、鳥取から新種を発見・出版できたのは素直に嬉しいです。さまざまな方の協力や支えがあってこそ発見できたのだと思います。身を引き締めて引き続き鳥取県内の生き物調査を頑張りたいと思います。





裏話とか

①前述のツイートの画面が論文のSupplemental materialとして掲載されています。とてもシュール。朝日新聞や地元の新聞にも載ったのでもはや最強のツイッタラーかもしれない。


②法政大学のプレスリリースに「一般の大学院生」として取り上げられた筆者でしたが、果たして、修論でダニを研究している大学院生は「一般の大学院生」なのか...?


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